中国におけるブロードバンドの将来

http://www.enet.com.cn/article/2006/1114/A20061114289866.shtml

 記事タイトルは訳すと「Bit Torrentで議論紛糾!プロバイダーはネットワークの進歩(従量課金)に言及」といった感じなのですが、記事内容は上述タイトルの感じで。

 日本でも似たような状況のようですが、Bit TorrentをはじめとするP2Pトラフィックが全体の60%を占めているので定額制は辛い。IP電話の普及に電話運営会社でもあるプロバイダーは困り気味。といった日本と比べてもわかりやすい話が展開されているのですが、ちと中国風味のある話題としては、従量課金の反対意見として「スパムやFlash多用の企業サイトがあるのに、従量課金として一般ユーザーが負担するのはおかしいじゃないか」というご意見。Skipボタンもないえんえんと自己満足Flashを見せる企業サイトが多いのはまったくその通り。私も、ブラウザのセキュリティ設定をあげないと怖くてネットを見られないけど、Flashが見られないとまったくサイトが表示されないことも多くて困っています。

 天津だと512kbのADSLが月額80元です。日本と比べるとちょっと高いと思いますが、あまりPCに詳しくない子でもP2PやインターネットTVを使用していることを思えば、ユーザあたりの平均トラフィックは結構大きいのかもしれないですね。

花儿乐队坦承不会原创只会娱乐

http://www.ycwb.com/ycwb/2006-11/10/content_1276523.htm

 花儿乐队は中国の人気アイドルグループです。特に低年齢層に人気があるとか。歌と踊りはかなり無惨なレベルですが、キャッチーな曲が人気の秘密だとか。

 そのキャッチな彼らの「オリジナル」曲ですが、実は他国の流行曲をぱくりまくりだったのです!って、聞けばもろばれなのですが。
 代表曲「嘻唰唰」がPuffyの「K2G〜キミにGO!〜」のぱくりなのをはじめとして、「著名な音楽評論家・王小峰氏がBlogにて花儿乐队の2004年のアルバム「我是你的罗密欧」と2005年のアルバム「花季王朝」には計13曲に剽窃の疑いがある」と指摘しているそうで。(http://ent.qq.com/a/20060225/000065.htm

 なにをいまさらと思ったのですが、タイトル記事にあるリーダー・大張偉くんのコメントが面白すぎたので、とりあげてみました。

 後からオリジナルにチャレンジしてみたんだけど、CDを出すなんて思っても見なかったことさ。みんなは僕たちがオリジナル曲を作っていると思っているようだけど、それは前の会社がむりやり作ったイメージなんだ。今や僕たちの音楽理念はもう変わっていてさ、オリジナルかどうかなんかはどうでもいいし、芸術としての深みなんかもどうでもいんだ。エンターテイメントになっているかが大事なことなんだよ。*1


 全力で開き直っているのがすごい。けど、中国って海外のカバー曲をオリジナルであるかのように歌うという状況が結構続いていたので、花儿乐队は極端にやりすぎたとはいえ、方向性としては全体に一致していると言えるかも。今後、こうした状況が転換していくのかちと興味があります。

*1:原文:后来尝试自己创作,出唱片是我们想都没想过的事。大家总把我们冠上原创的帽子,其实这都是原来的公司硬给我们打造的形象。现在我们的音乐理念已经有了变化,我们根本不在乎是否有原创能力,有没有艺术思想深度也没关系,还是娱乐化更重要。

中国における「クレヨンしんちゃん」の商標裁判


「しんちゃん」グッズ販売できず=国内企業の商標登録を認定−中国裁判所(時事通信 2006年9月30日 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060930-00000053-jij-int9)


 どういう事情なのかは、「中国メディアウォッチ | クレヨンしんちゃん 日中で争奪戦」(http://china-media.jugem.jp/?eid=43#sequel)が詳しい。あと「中国商標」(http://www.cb-h.com/shshshow.asp?n_id=26995)の記事を参考にしたところ、以下の通り。

 2003年に双葉社が中国での商標登録を行ったが、1997中国国家商标评审委员会年には既に誠益眼鏡公司が9項目の分野で商標登録を行っていた。で、2005年1月に双葉社が中国国家商標評審委員会に誠益眼鏡公司の商標取り消しを申請。2005年12月30日に申請却下。で、双葉社が中国国家商標評審委員会を訴えるという流れ。

 裁判は双葉社が5月30日敗訴し、即座に控訴。で、9月30日に控訴却下にて敗訴が確定しました。

 判決理由は以下の通り。

  1. 1993年の商標法では商標登録後無期限での異議申し立てが可能であったのに対し、2001年に改正された新商標法では登録後5年に限定される。双葉社が旧商標法が適用されると主張するも、裁判所の判断では新商標法が適用されるとし、97年から8年経過してからの異議申し立ては認められないとした。
  2. 誠益眼鏡公司が97年に商標登録をした際、中国では双葉社の商標登録がなされておらず、「クレヨンしんちゃん」の商標がどれだけ認知されていたか疑問であるという指摘。
  3. 双葉社の主張では、誠益眼鏡公司の商標登録が「悪意をもったもの」と証明できない。

 法律に疎いので、1の判断(商標登録後に、商標法が改正された場合、登録時の法が適用されるのか?それとも現行の法が適用されるのか)がトンデモなのかどうかはわかりません。
 ただ、2と3については明らかに双葉社に厳しい判決であるように思われます。97年当時に中国に訪れたことがある人間はわかると思うけど、クレヨンしんちゃん海賊版アイテムがごまんと散乱していたはずです。「認知されていなかった可能性」っつーのは、正直ないよーな。

 ただ上記の「中国メディアウォッチ」さんにもかかれていたように、双葉社の対応が遅すぎたというのが一番大きな問題かも。パクられまくりの状況は理解していただろうから、海賊版は押さえられないにしろ、とりあえず商標だけは押さえておけばよかったのに。

 あ、あと、中国には「蜡笔小新有限公司」(http://www.wl139.com/V08/default.asp)という、会社名がまんま「クレヨンしんちゃん」(=蜡笔小新)なのがあるんですけど、ここはどうなんだろ。結構大きな会社なのですが。

M:i:3

http://www.mi-3.jp/top.html

 衝動買いシリーズ第二弾!「スーパーマン」とどっちにしようか一瞬悩んだけどなんとなくこちらで。

 かけらも期待をせずに見たけど、あれあれれ、こりゃ意外と面白く見れてしまいましたよ。I.M.F.のチームメンバーによる作戦は緊張感があるし、かっちょええガジェットも満載。
 しかもしかも、異常にテンポがいい。つーか、展開早い。あまりの早さに、中国語字幕を読む速度が追いつかないぐらいでしたっ(<修行足らず)。日本語字幕で見ている人にも、省略法を多用した超高速展開にはついていけない人もいたりするかも。またテンポ優先の故か、世界を滅ぼす謎の兵器がいったいなんだったのかがよくわからないとか、裏切り者の動機もいまいち理解できないとかいう問題もあったような気もするが、ま、そのおかげで超高速展開を得られたと言うことでよしとすべき?!

 つーわけで、飽きずにアクション・ガジェット・爆発を見たい人にはお勧め、と言っておきます。一応。

 ★★★☆☆。

梅汝敖の経歴

 映画「東京裁判」の主人公・梅汝敖ですが、日本語のネットを探しても経歴とかが見つからなかったので、中国語のサイト(http://www.sjzdaily.com.cn/yanzhao/2006-08/13/content_818529.htm)で見かけた経歴を訳しておきます。

梅汝敖(1904−1973)男。著名な法学者。江西南昌人。

 1920年代に清華学校(清華大学の前身)に入学した。24年に卒業後アメリカへ留学し、26年にスタンフォード大学を卒業、28年にシカゴ大学の法学博士を取得している。

 29年に帰国後、山西大学・南開大学・武漢大学・復旦大学・西南連合大学・中国政治学校などで教鞭をとった。中国国民政府内政部参事兼行政訴訟委員会委員・中国立法院立法委員・渉外立法委員会主任委員・外交委員会代理委員長・国防最高委員会専門委員などを歴任した。また中山文化教育館編訳部主任・「時事類編」半月刊主編の職についた。

 46年から48年は東京にて、極東国際軍事裁判の判事を担当し、日本戦犯の審理に参加した。二年半の在職期間に、審理は818回もの多きに及んだが、梅汝敖は筋を通し節度を守り、法律の原則を守り続けた。そして祖国の尊厳と人民の利益を守り、世界の賞賛と尊重を得、任務を全うした。

 建国後、中華人民共和国外交部法律顧問・外交学会常務理事・中国法学会理事・世界平和理事会理事などの職を担った。54年には全国人民代表大会代表に当選し、人民常委会法案委員会委員を勤めた。また第三回・第四回政協委員となった。

 73年に逝去、享年69歳であった。



 梅汝敖(1904—1973):男,著名法学家,江西南昌人。上世纪20年代在清华学校(清华大学前身)学习。1924年毕业后,赴美留学。1926年毕业于美国斯坦福大学,1928年获芝加哥大学法学博士学位。

1929年回国,先后任教于山西大学、南开大学、武汉大学、以及复旦大学、西南联合大学、中央政治学校等。曾任中国国民政府内政部参事兼行政诉讼院委员会委员、中国立法院立法委员、涉外立法委员会主任委员、外交委员会代理委员长、国防最高委员会专门委员等职及中山文化教育馆编译部主任及《时事类编》半月刊主编等。

1946年至1948年赴东京,任远东国际军事法庭法官,参与审判日本战犯。在历时两年半,开庭818次的漫长过程中,梅先生有理有节,始终坚持法律原则,维护了祖国的尊严和人民的利益,赢得了世界的赞赏与尊重,出色地完成了任务。

建国后,担任中华人民共和国外交部法律顾问、外交学会常务理事、中国法学会理事、世界和平理事会理事等职。1954年当选全国人民代表大会代表、人大常委会法案委员会委员,曾任第三届、第四届政协委员。

1973年与世长辞,享年69岁。

「東京裁判」、成都を揺るがす 観客が戦犯の人形を絞殺刑に

 http://yule.sohu.com/20060901/n245110229.shtml

 映画「東京裁判」を見終わった後、ネットでぽろぽろ関連ニュースなんぞをながめていたのですが。むしろ映画より、すげぇなと思ったのはこのニュース。

東京裁判」、成都を揺るがす 観客が戦犯の人形を絞殺刑に
 中国人民の真の気持ちを表すため、映画鑑賞前に、多くの観衆が、東条英機土肥原賢二広田弘毅松井石根など七名の多くの罪を犯した戦犯の位牌(名前を書いた板ぐらいかな?:訳者)にむかって争うように腐った卵を投げつけ、奪い合うように戦犯の人形を絞首刑にした。

 为了表达中国人民的真实情感,在观看影片之前不少观众争相面对东条英机、土肥原贤二、广田弘毅、松井石根等七名罪行累累的战犯牌位投掷臭鸡蛋,并抢着用绞绳将模拟战犯送上绞刑架上。


 ちっちゃい子が絞首刑にチャレンジ。それをにこやかに見守るおばさんたち、という写真が添えられている*1、お子様の情操教育的にありなのかしらん、と勝手に心配してしまうなぁ。

*1:日記冒頭の写真。はてなは写真の挿入位置の指定出来ないのかなのですが

東京審判(東京裁判)

gaokou2006-09-15


 9月1日に公開されて以来、中国で一大旋風を巻き起こしている映画、だそうですよ。おいらはまったく流行に気づかなかったのですが、何故か散髪屋が軒にテレビを出して流していたので、「よくわからんがきっと流行っているに違いない」と思いこんで購入。ちなみにその散髪屋がDVDを売っているわけではなかったんだよなー。愛国心の発露、中国人ならば絶対に見なきゃだめだぜという熱いメッセージだったのかしら。

 映画は、中華民国が派遣した東京裁判極東国際軍事裁判)の判事・梅汝敖(劉松仁)と、大公報の新聞記者・肖南(朱孝天)の二人が主人公。前者が出演する法廷パートと後者が出演するドラマパートとにざっくりわかれている。おなじ居酒屋でたむろっているので面識はあるのだけど、それ以上の関わりはないっていう感じでしょうか。

 で、法廷パート。
1.席次争い首席
 裁判での席次は、中国はイギリスの次ねと裁判長に言われたところ、梅汝敖は大激怒!中国は抗日戦争で多くの犠牲が出しつつ戦いとおしたんだっ!、あっさり逃げ出したイギリスの後塵を喫すのは納得がいかない!、と。席次を変えないと帰る!とごねまくり、要求貫徹。

2.中国の検察官大活躍
 板垣征四郎土肥原賢二の裁判中、言い逃れをする二人を中国人検察官がかっこうよく論破。

3.満州国皇帝・溥儀の証言
 おいら日本に操られていた猿回しの猿だよ、と叫ぶ溥儀。

4.南京大虐殺の審理
 東京裁判にて、南京大虐殺が6週間で20万人以上の虐殺をしたと結論。これは控えめな評価で、後に中国の調査で30万人以上と判明した、とテロップが入る。

5.量刑の決定。
 判事の多数は、死刑反対に傾いていた。そこで梅汝敖の登場。死刑じゃなかったら中国民衆は納得しない。そうなれば、自分も死ぬしかないのでは、つーことで熱く説得。死刑にしなければ後の世の教訓にならない、そのために日本指導者に最大級の罰を、っていう内容。

 国際舞台できっちりと自己主張して、活躍する中国っていうのが、中国人的にぐっと来るポイントでしょうか。故に他の判事たちはほとんど発言なし。

 ドラマ・パート。
 新聞記者・肖南。彼のかつての同級生・芳子と雄一。芳子の兄あたりが登場人物。雄一くんは弟が中国で戦死したため、中国人を激しく憎んでおりました。で、肖南くんにぶっ殺すと迫るわけですが、実は弟くんの死には別の秘密があり。。。イケメン俳優の肖南くんはあんまり活躍せず、戦争に負けてやけになっている日本人がたくさん出てくるお話。戦争は日本人も不幸にしたのだ、っつーメッセージの模様。

 正直、おいら自身の東京裁判知識が不足しているので、「映画制作者は大量の歴史調査を経て、多くの知られざる秘密を明らかにした」というあおり文句の正否を判断できる立場ではないのですが。たださすがに言い過ぎな気が。東京裁判本を数冊読めばだいたい載っていそうなエピソードじゃないのかな。あと、全ての戦犯と裁判官が毎回の審理に出席していたりとか、考証的な問題はごっそり抱えていそうですが、映画ならこの程度の演出は許されるかなとも思ったり。

 つーわけで、普通に見れてしまった。というのが結論。正直、どんなスーパー反日メッセージが来るんだっ、という興味でみただけなのですが、思ったよりもたんたんとしていて拍子抜けでした。苦難の歴史をくぐりぬけて、国際舞台で活躍した中国っていうのがメインですかね。