東野圭吾『探偵ガリレオ』文春文庫、2002年(isbn:4167110075)。

 科学トリックを、物理学者が解くという連作短編集。ただあっさりトリックがわかったり、逆に納得いかないものであったりと、あまり成功しているとは評価できない。
 そもそも「科学とオカルト」というネタは、その間をふわふわ行き来する状態こそ楽しいのではないか。その意味では、本作は科学的な説明をどうつけるかという部分の比重が大きすぎて、オカルトの香りがほぼしないため、科学的な説明=謎解きがなされても、爽快感にかけてしまう。
 キャラクターの魅力もあまり感じられないし、全体的に何を面白味にすればいいのかよくわからない。以前読んだ『分身』『超・殺人事件』がそこそこ面白かっただけに、かなり期待を裏切られた感あり。★★☆☆☆。