内田樹『寝ながら学べる構造主義』文春新書、2002年(isbn:4166602519)。

 友人からわかりやすいと推薦されて読みました、よ。
 
 出版から二年で13刷。かなり売れています。
 確かに読みやすく、とっつきとしてはかなりいいかも。今までいろんな入門書を読んだり、訳書を読んだりして、挫折したりわかったふりをしてきた自分も大分参考になりました。

 まさに、本書で扱っているフーコーの系譜論の導入(「あらゆる文物にはそれぞれ固有の「誕生日」があり、誕生に至る固有の「前史」の文脈に位置づけてはじめて、何であるかが分かるということを、私たちはつい忘れがちです。そして、自分の見ているものは「もともとあったもの」であり、自分が住んでいる社会は、昔からずっと「いまみたい」だったのだろうと勝手に思いこんでいるのです」)のとおりなのですが、フーコーだ、バルトだ、構造主義だという話は僕らのまわりにあふれていて(少なくとも人文系の大学生の周りには)、そういう固有名詞がつけられていなくてもそれらの影響を受けたお話(映画、マンガ、小説、あるいは友達との雑談の中にも)がごろごろと転がっているわけです。で、それらは当然解釈がさまざま異なっていて、なにがどうなっていたのか、よくわからなくなってしまっているわけじゃないですか。
 で、そういうのをちゃんと選り分けて、系譜論的に理解して出来るのが一番いいのでしょうが、そこまでなかなか出来ない人間にはこういう入門書って結構便利だな、と。特に私みたいに、耳でききかじったことをぽろぽろと人に喋ってしまうような類の人間には、耳学問へのネタの仕入れとそれへの懐疑の機会とを同時に得ることが出来る、かも。
 まあ、結局、いろんな解説書にふりまわされているうちに訳わからなくなって、仕方ない、がんばって、原書(訳書?)を読むか、とかなるのかもしれませんが。

★★★★☆。