「スチームボーイ」スチームボーイ 通常版 [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2005/04/14メディア: DVD購入: 1人 クリック: 42回この商品を含むブログ (278件) を見る

 19世紀なかばのイギリスが舞台。ヴィクトリア朝ですぜ。
 すんげぇエネルギーを秘めた「スチームボール」をめぐって、イギリスとアメリカ・オハラ財団が、主人公の父とじいちゃんが争う。
 その中に巻き込まれた主人公が、父ちゃんとじいちゃんのいうことのどっちが正しいか分からずにふらふらしつつ、大活劇。最後はちと成長。
 みたいなお話なのでしょうか。

 みどころ(1)は、蒸気機械の数々がかっこえー、ということ。スチームパンク、というやつなのかしら。「男の子」心大くすぐりであります。戦車、潜水艦、飛行船、蒸気兵……、そしてスチーム城。どれこもこれも、ぐっと来ます。

 みどころ(2)は、舞台の書き込み。冒頭のロンドン俯瞰図とかすげー(ちとCGっぽさが出ていたのが残念だけど)。あと、マンチェスターの綿布工場とか、科学への愛が語られる世界観とか。希望としては、植民地と悲惨な労働者と共産主義をかきこんで欲しかった!!

 物語としては、わかりやすい冒険活劇を目指していたと思うのですが、ちとたんたんとしすぎてしまって(大友節なの?)、活劇としての盛り上がりにはかけるような気もします。そんなにテンポがいいとは感じなかったな。でも、それは爺・父・息子の三代の科学をめぐるやりとりには必要なことだったのかも。
 結局、スチーム城を動かしてわかりやすく狂っている父だけでなく、科学は真理の探究じゃあなどといって暴れ回っている爺もまた狂っている。で、どちらが正しいのかわからずにふらふらしている主人公も最後は己のポジションを見つけ、「科学、サイコー」と叫ぶわけですが、彼もまた科学の力と魅力にやられていて、狂う要素満載なのですね。
 科学への絶対的な愛が語れる時代であると同時に、その後にどう転んでも不幸な未来が待っていることが確定という時代、ということなのかしらん。

 最後、鈴木杏ちゃんの声優、ばっちしだと思いました。おいら的には違和感なしであります。むしろ中国語吹き替え版の声優さんの声があまりに女の子っぽくて、ちと辛い。

★★★★☆。