東京審判(東京裁判)

gaokou2006-09-15


 9月1日に公開されて以来、中国で一大旋風を巻き起こしている映画、だそうですよ。おいらはまったく流行に気づかなかったのですが、何故か散髪屋が軒にテレビを出して流していたので、「よくわからんがきっと流行っているに違いない」と思いこんで購入。ちなみにその散髪屋がDVDを売っているわけではなかったんだよなー。愛国心の発露、中国人ならば絶対に見なきゃだめだぜという熱いメッセージだったのかしら。

 映画は、中華民国が派遣した東京裁判極東国際軍事裁判)の判事・梅汝敖(劉松仁)と、大公報の新聞記者・肖南(朱孝天)の二人が主人公。前者が出演する法廷パートと後者が出演するドラマパートとにざっくりわかれている。おなじ居酒屋でたむろっているので面識はあるのだけど、それ以上の関わりはないっていう感じでしょうか。

 で、法廷パート。
1.席次争い首席
 裁判での席次は、中国はイギリスの次ねと裁判長に言われたところ、梅汝敖は大激怒!中国は抗日戦争で多くの犠牲が出しつつ戦いとおしたんだっ!、あっさり逃げ出したイギリスの後塵を喫すのは納得がいかない!、と。席次を変えないと帰る!とごねまくり、要求貫徹。

2.中国の検察官大活躍
 板垣征四郎土肥原賢二の裁判中、言い逃れをする二人を中国人検察官がかっこうよく論破。

3.満州国皇帝・溥儀の証言
 おいら日本に操られていた猿回しの猿だよ、と叫ぶ溥儀。

4.南京大虐殺の審理
 東京裁判にて、南京大虐殺が6週間で20万人以上の虐殺をしたと結論。これは控えめな評価で、後に中国の調査で30万人以上と判明した、とテロップが入る。

5.量刑の決定。
 判事の多数は、死刑反対に傾いていた。そこで梅汝敖の登場。死刑じゃなかったら中国民衆は納得しない。そうなれば、自分も死ぬしかないのでは、つーことで熱く説得。死刑にしなければ後の世の教訓にならない、そのために日本指導者に最大級の罰を、っていう内容。

 国際舞台できっちりと自己主張して、活躍する中国っていうのが、中国人的にぐっと来るポイントでしょうか。故に他の判事たちはほとんど発言なし。

 ドラマ・パート。
 新聞記者・肖南。彼のかつての同級生・芳子と雄一。芳子の兄あたりが登場人物。雄一くんは弟が中国で戦死したため、中国人を激しく憎んでおりました。で、肖南くんにぶっ殺すと迫るわけですが、実は弟くんの死には別の秘密があり。。。イケメン俳優の肖南くんはあんまり活躍せず、戦争に負けてやけになっている日本人がたくさん出てくるお話。戦争は日本人も不幸にしたのだ、っつーメッセージの模様。

 正直、おいら自身の東京裁判知識が不足しているので、「映画制作者は大量の歴史調査を経て、多くの知られざる秘密を明らかにした」というあおり文句の正否を判断できる立場ではないのですが。たださすがに言い過ぎな気が。東京裁判本を数冊読めばだいたい載っていそうなエピソードじゃないのかな。あと、全ての戦犯と裁判官が毎回の審理に出席していたりとか、考証的な問題はごっそり抱えていそうですが、映画ならこの程度の演出は許されるかなとも思ったり。

 つーわけで、普通に見れてしまった。というのが結論。正直、どんなスーパー反日メッセージが来るんだっ、という興味でみただけなのですが、思ったよりもたんたんとしていて拍子抜けでした。苦難の歴史をくぐりぬけて、国際舞台で活躍した中国っていうのがメインですかね。