森岡浩之『夢の樹を接げたら』ハヤカワ文庫、2002年(isbn:4150306907)

 『星界の紋章』で大ヒットした森岡浩之の短編集。収められている八つの短編は、言語・異文化としての異星人・意識と世界の秘密といったトピックを扱っている。SFらしさ満点というか、SF読みたい時に読んでがっかりすることはないと思う。森岡浩之、SF好きなんだね、とよくわかる。もっともここから『星界の紋章』のキャラ萌えとの間に何があったのか、頭を悩ませないでもないけども。
 僕がもっとも気に入っている話は、「スパイス」。ぶっちゃければ、人を食う、食人の話なのですが、そのために一生を捧げた男がすばらしく偏執的に描かれている。
 変質者話が好きな方、なぜか食人という単語に胸がときめいてしまう方、おすすめです(笑)。★★★★☆。