小谷野敦『評論家入門 清貧でもいいから物書きになりたい人に』平凡社新書、2004年(isbn:4582852475)。

 評論とは何か、評論の評価の仕方、そして評論家につきものの論争について。といった内容。
 小谷野の本を読むのは、『もてない男』(ISBN:4480057862)に続いて二冊目。『もてない男』は「なんで俺はもてないんだ!」という叫びを書いた章を下世話な興味から購入。『評論家入門』も同じく下世話な興味から購入。
 下世話な面白さでは、「第五章 評論家修業」が白眉。基本的には「評論家になるために」、「ススメ」というスタンスなのに、この章だけは毛色が違います。小谷野が大学院を出て、売れず、鬱々とし、精神安定剤飲みながら、頑張り、でもだめで、人を妬みつつ…。というお話。章タイトルからは、どうやって修行すればいいのか、という内容を想像したのですが…、思いっきり看板に偽りあり。これも小谷野のサービス精神というか、『もてない男』以来の読者へのフックとして用意されているのかな。
 それ以外の部分でも、評論の読み方、柄谷行人分析などのポイントあり。小谷野のあくの強さや思い切った断定が苦手な人がいる、というか、僕はいまいち好きになれないのですが、それを割り引いても面白く読めました、よ。★★★★☆。