井上夢人『クリスマスの4人』光文社、2001年(isbn:433492350x)。

クリスマスの4人

 1970年のクリスマス、4人の男女が車に乗って楽しく乱痴気騒ぎ的ドライブを満喫していると、一人の男を轢き殺してしまう。慌てた4人はその男を山の中に棄てて、逃げ出す。10年後のクリスマス、4人が再開した時、何故か轢き殺した男と遭遇してしまう。その後も10年ごとに4人は出会うこととなるが、その度に轢き殺したはずの男と出会うこととなり…。

 ってなかんじのストーリー。

 10年ごとに再会し、時代や登場人物の人生を織り交ぜつつ、ストーリーが展開するという手法自体はそんなに斬新とも言えないかもしれないが、文章の巧さ・リズム感の良さでさくさくと楽しく読めた。謎をめぐる緊迫感もGood。

 ググってみると、オチが許せないという意見もかなりあるよう。確かにちょっと反則気味ではあります。そこが許せるかどうかで評価が変わりそう。

 装丁が中身のイメージと全然違ううえにあまり出来が良くないのですが、中身はするすると読めて楽しい一冊となっております。★★★★☆。