(解説の大森望がいうところの)超常小説の短編集。裏表紙にある「妄想が産み出す恐怖と笑いに満ちた不思議な世界へ読者を誘う幻想譚」というのは、的確な説明かも。
シンプルな文体で、きれいな文章という印象。奇妙な妄想の世界をけばけばしくなく、素朴に素直に描いている。何食わぬ顔で、けれんみなく、出てくる濡貘や水竜などの不思議な存在を描き出していて、なんかすとんと読めてしまう。
いまさらいうのも恥ずかしいが、椎名誠、文章うまいや。知らなくて、すいません。同世代の人間は10数年以上前に通り抜けたのだろうに。とほほ。ま、今からでも遅くはないっつーことで。
★★★★☆。