フランツ・カフカ(前田敬作訳)『城』新潮文庫、1971年。城 (新潮文庫)作者: フランツ・カフカ,Franz Kafka,前田敬作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1971/05/04メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 76回この商品を含むブログ (126件) を見る

 師匠に、「官僚制的たらい回しとは何か」を知るには、カフカの『城』を読むべし、と唆されたので読んでみました。こんな有名な本も読んでいないの、と言われると恥ずかしいのですが、中学の後半ぐらいから、翻訳調の小説がどうもあわなくなってしまい、いわゆる世界の名著みたいなのを読まなくなっていたので…(言い訳)。翻訳読まないなら、原著で読むとかいう格好いい選択肢もなかったしなぁ(遠い目)。

 まあ、それはともかく読みました。600頁。長い。暗い。一人の台詞がだーっと10頁以上も続いたりとかで、結構読むの大変でした。でも、なにげに引き込む力があるのも事実。結構集中して読んでしまった。


 あらすじは、ここ(http://yonosk.at.infoseek.co.jp/rv03/schloss.htm)の書評を見ていただいたほうがいいのですが、簡単に言うと、

 辺鄙な村に、主人公行き倒れがやってくる。公権力に「無頼者は去れ」と怒られたけど、「いや、あっしは伯爵に呼ばれた測量士でさぁ」とか適当なことを言って切り抜けようとしたところ、本当に測量士として召し抱えられることに。と思いきや、村長にNOと言われ、立ち往生。
 測量士として自分を認めさせるためか、村に居場所を持つためか、はたまた何か別の目的があるのか。主人公は公権力=城とチャネルを持つため、村で奮闘。そのなかでいろんな人間と関わり合いになり、長台詞を聞いていく。

 ってな感じでしょうか。
 
 で、『城』の官僚の皆様のたらい回し技や、官僚制のダメさとかも見所なのかもしれませんが、、個人的には村人の皆様が、権威を内面化しておられるあたりがとてつもなくせつない。お城勤めの下っ端秘書でも崇め奉ったり、何も通達が来ないうちから斟酌して行動したり。とせつなすぎる。

 というわけで、第14〜15章のバルナバス家のお話が特にぐっと来ました、よ。
 長台詞辛くて、結構読み飛ばしたので、ちゃんと読めているか不安ですけど、とりあえずこんな感じ。

 ★★★★☆。