廣野由美子『批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義』中公新書、2005年。批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)作者: 廣野由美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/03/01メディア: 新書購入: 12人 クリック: 124回この商品を含むブログ (96件) を見る

 フランケンシュタインを題材に、
 Ⅰ 小説技法編 小説にはどんなテクニックが用いられているのか
 Ⅱ 伝統的批評、精神分析批評から透明な批評まで
 とを教えてくれる、お得感たっぷりの概説書。
 
 手早くいろんなことを抑えたい不真面目な人間がターゲットだろうに、禁欲的な文章なのはいただけないような気もするけど、まあ素敵な本ではないでしょうか。

 ただ、「どういう批評の方法がありうるか」というこの本は、自分に取ってはまだはやすぎたかも。
 というのも、「なぜ批評ってあるの?」という自体が(青臭すぎる発問ですが)、さっぱりわからないから。
 
 テキストをより深く理解するための武器、とか言われるとそうかも、とも思うのだけれども。ジャンル批評、文化批評、新歴史主義、文体論的批評とかはそういう意味ではよくわかるのだけど、精神分析批評、フェミニズム批評、ジェンダー批評なんかはテキストをだしに言いたいことを言うものとしか読めなかったしなぁ。「批評」という行為そのものが、いろんな目的をもったものなのだよ、とかいうことなの?!

 まずは、「文学ってなーに?」みたいな本から読んだ方が良さそうです。

 ★★★★☆。