藤原明『日本の偽書』文春新書、2004年。日本の偽書 (文春新書)作者: 藤原明出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/05/20メディア: 新書購入: 1人 クリック: 26回この商品を含むブログ (22件) を見る

 最近、「偽史」や「偽書」が、ちゃんとした研究対象として使われるようになってきたなぁ、という漠然とした感想がありまして。
 で、図書館で見かけたので、とりあえず借りてみました。
 
 『竹内文献』『秀真伝』などの有名な太古文献が、どういう経路で偽作されたのかを、かなり誠実に追いかけている本です。

 ですが、偽作の経路というテキストの創造論が中心で、どういう欲望のもと、誰が作って、それをフォロワーがどう用いたのか、と言った部分の記述が弱く、ちょっと物足りないかも。

 まとめである第五章の「偽書の何が人をひきつけるのか」も、いろんな要因が羅列的に述べられ、偽書の魅力とは何か、あるいは太古文献がなぜ人をひきつけたのかについての解釈が、どーんと出ていないのが、ちょっと残念。

 とはいえ、漫画や小説のネタで使われている偽書の数々がどーいうもの(この部分も弱いんだよね、実は。偽書の中身の解説が非常にすくない)で、どーつくられたのかを知りたいという時に、こっそり読むといいのかも。

★★★☆☆。