グレッグ・イーガン(山岸真訳)『祈りの海』早川文庫、2000年。祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2000/12/01メディア: 文庫購入: 22人 クリック: 94回この商品を含むブログ (201件) を見る

◆目次
貸金庫/キューティ/ぼくになることを/繭/百光年ダイアリー/誘拐/放浪者の軌道/ミトコンドリア・イヴ/無限の暗殺者/イェユーカ/祈りの海

◆内容(「BOOK」データベースより)
二万年前に惑星コブナントに移住し、聖ベアトリスを信奉する社会を築いた人類の子孫たち。そこで微小生物の研究を始めた敬虔な信者マーティンが知った真実とは?ヒューゴー賞ローカス賞を受賞した表題作、バックアップ用の宝石を頭のなかに持った人類の姿を描いた「ぼくになることを」ほか、遙かな未来世界や、仮想現実における人間の意志の可能性を描く作品まで、多彩な魅力あふれる11篇を収録した日本版オリジナル短篇集。


 1990〜98年までの著作を集めた短編集。『宇宙消失』『順列都市』と長編を読んでから、短編集にチャレンジしてみました。
 正直、短編集の方が面白いかも。
 
 自分、意志、運命などの不確定さ、揺らぎがテーマとして一貫している。SFの短編ながら、アイディア一発勝負以上の小説的な面白さを備えていると思う。

 お気に入りの短編は、「百光年ダイアリー」と「放浪者の軌道」。どちらもつっぱって、自分を持って生きていこうとするが、その信念が無惨にも蹴散らされるところがせつなくてよい。

★★★★★。