雁屋哲(作)由起賢二(画)『野望の王国』野望の王国完全版 1 (ニチブンコミックス)作者: 雁屋哲,由起賢二出版社/メーカー: 日本文芸社発売日: 2002/09/27メディア: コミック クリック: 30回この商品を含むブログ (35件) を見る

 おいらのバイブル、『サルまん』(ISBN:4091790518)の絵柄(および野望)は、もともと『野望の王国』のパロディだったというのは有名。
 『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲の真髄(狂気?)は『野望の王国』にあるとも聞く。
 とかくいろんな形で語られるのを耳にしていたマンガ。ようやく読みました、よ。

 ストーリーとかはいろんなサイトで解説されているので触れないけど、ともかく濃い。笑ってしまうぐらい濃い(おいらが『サルまん』を先に読んでいるから、つい思い出してしまうからかもしれないけど…)。
 ともかく、暴力の連発。神奈川最大の暴力団・橘組は構成員が何人いるか知らないけど、劇中で4桁は死んでいると思う。よく構成員不足にならないものだ。都内の道路を戦車が突撃したり、ヘリが爆撃したり。あるいは港にタンカー突撃したり。

 でもって、これらの暴力は、「野望=支配者になる」を持った男たちの表れなのだが、野望はわかるけど、いまいち賢くないというか。東大法学部を天才的な成績で卒業した主人公たちからしてそうだ。

 でも、それが良いというか。天才的な策略、抜け目ない男たちの化かし合い、ではなく、ひたすら男たちの熱さ・濃さが展開されているということなのだろう。
 その意味で、橘・片岡の両主人公の関係は、典型的なホモ・ソーシャル。最後にその関係が崩れかけた瞬間、片岡が死ぬのは決定的。関係を裏切った罰とでもいうか。

 激しく長くて、頭が痛くなりそうですが、熱さ・濃さを受け入れられる人間にとってはたまりませんな。まさに「クサヤ」的存在とでもいいますか。

 マンガ喫茶で一気読みして、おいらの生活リズムを破壊してくれました。すばらしいマンガなり。

★★★★★。