山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか 身近な疑問からはじめる会計学』光文社新書、2005年。さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)作者: 山田真哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/02/16メディア: 新書購入: 10人 クリック: 331回この商品を含むブログ (1042件) を見る

 寝不足で街をうろうろしていたときに、なにげなく買ってしまいました。微妙に噂になっているのは聞いていましたが、そんなに興味なかったのにな…。ふしぎふしぎ。

 帯には、表に「今年最大の新書ベストセラー/60万部!/そんなカラクリだったのか!」。
 やたらとテンションが高いあおりです。が、さおだけ屋が潰れないからくりを勉強させてもらおう……

 と思ったら、そういう本じゃなかった!! さおだけ屋は話のふりにさらっと使われているだけ。しかも検証のソースは「知人から聞いた話」!! なめてんのか、くそっ。つーか、そんなに怒るほどさおだけ屋のことが知りたかったのか、俺。

 よく見ると、帯の裏には「数字嫌いでもすらすら読める!/スーパーの完売御礼でわかる「機会損失」と「決算書」/飲み会のワリカンでわかる「キャッシュ・フロー」/住宅街の高級フランス料理店でわかる「連結経営」/2着で満足する麻雀打ちでわかる「回転率」/商品だらけのお店でわかる「在庫」と「資金繰り」 」とあり、「身近な」ネタふりからいくつかの用語・概念を説明するという本でした…。つーか、サブタイトルに「身近な疑問からはじめる会計学」ってちゃんと書いてあるじゃん。

 中身は、上の帯にあるとおり、連結経営やらなんやらをちょー簡単に説明してくれるもの。あっ、ちなみにさおだけ屋のネタからは利益が出てきます。
 さおだけ屋の話を紹介。企業は法人であって、人と同じく生き続ける=継続することを願う*1。そのためには利益を出し続けなければならない。さおだけ屋も続いている以上、利益が出ているはずである。利益は「売り上げ」マイナス「経費」によって求められるので、①売り上げが高いか。②経費が安いか。のどちらかであろう。知人に聞いたところ、さおだけを買おうとしたところ、より上等な品を紹介されたり、物干し台の修理をアドバイスされたり、詐欺まがいのやり方で売り上げを確保しているという話あり(①に相当)。また、別のさおだけ屋は、金物屋さんが副業にやっていたので経費がほとんどカカからなかったのだ(②に相当)。という事例。事例が薄すぎるし、しかもソースが「知人の話」だし。いいの、これで。麻雀のネタでは、オーラスにトップ肉薄の二着が、二位確定の安上がり。これはサクサク流して席代を稼ぐ。回転率を求めたものという解説。でもそんな店員がいたら顧客満足度がさがらないかとか、店員は負け分自分持ち、勝ち分はもらっていいという条件が多いし、なにより雇われ店員の場合は席料は自分の収入につながらないと思うんだけど…。と、事例のぞんざいな取り扱いが嫌だ。

 解説してある「利益」やらなにやらも、本当に初歩的な話を、すさまじく単純化していて、中身が薄い。

 ともかく全てが薄い感じ。寝しなに30分だけ本を読もうと思って、読み終えてしまった。これで700円は高くないかしら。

 ★★☆☆☆。

◆追記 関連して、「放置新聞」さんの記事がちょっと面白かった。7月7日の二つめのエントリー。紹介されている「竿竹屋の真実
」(http://home.att.ne.jp/green/maia/old_homepage/saodake.htm)。やっぱりやばい組織ですね(笑)

 

*1:これも乱暴にすぎる単純化に思えるのですが…。会社整理のための法人とかは死を予告されている人なのかしら。って、まあいちゃもんつけすぎですか?