無極 The Promise(http://www.thepromise.sina.com.cn/)

 陳凱歌が監督。チャン・ドンゴン真田広之張柏芝セシリア・チョン)と日中韓のスターが揃い踏みする映画「無極」を見ましたよ!監督、役者が豪華なだけではなくて、制作費もすごいっ。なんでも制作費30億円以上っ。広告費なんかも含めると50億円に近づくとかっ。
 昨年末に中国で公開されてから、歴代興行収入を塗り替える勢いだとかっ。

 そして、そして、なによりも見逃せないが、「究極のダメ映画」と酷評三昧をおびているらしい。実際に見たおいらの友人も口々に「やめておけ」というほど。北京原人デビルマンを思わせる素晴らしい前評判に、こっそりダメ映画好きな私としては大興奮、でありますっ!

 ストーリーは?
 アジア的な架空の世界。戦乱の中、孤児となった娘に、女神が「祝福?呪い?」をかけます。「誰もが欲しがるステキな女にしてあげませう。でも代価として、本当の愛は手に入れられませんっ」と。
 で、成長してスーパービューティーになった娘(=張柏芝)は見事、王妃に。で、その王妃をめぐって、赤の真田広之・大将軍・北の侯爵(=ニコラス・ツェー)が激突っ。ところがちとしたハプニングで将軍の奴隷・チャンドンゴンと王妃がラブラブモードになってしまい…。

 って感じですかね?いや、違うかも。女神が、王妃を呪ってみたり、真田広之相手には「赤の鎧をまとったものが王を殺すでしょう」と預言したりとか、神話っぽくしたてようとがんばっている。いるのだけれども、なんかキャラクターの目的がさっぱり理解できないという典型的なダメストーリーになっております。すごいスピードで場面が展開していくのに、ストーリー的にはすかすかというのは、逆にすごいのか?

 絵的には…。赤の大将軍。白の侯爵。黒の暗殺者。など原色バリバリ。雪のシーンとか、赤い荒野とか背景もそう。<如果・愛>もそうだったし、チャン・イーモウもそうなんだけど、これがチャイニーズの心にぐっと来るのでしょうか。司馬遼太郎じゃないけど、おいらはもう飽きちゃったよ、というところがあるのですが…。
 あ、あと30億ぶっこんだはずのCGも結構ちゃちい。一緒に見た友達とはCGじゃなくて、合成でも出来るよね、つーか、合成っぽいということで意見が一致。チャンドンゴンくんが鬼の俊足なので、走るシーンが多いのですけれども、煙を巻き上げて高速ダッシュという漫画的表現は背景と違和感ありまくりだし、真田広之が唯一格好いい蛮族との戦争シーン(予告編は戦争シーンをメインに作っていたけど冒頭だけだったよ…)も三国無双そっくり。光栄は訴えないのかと思うぐらい(笑)。やたらと兜から角が伸びている所など、本当に三国無双、戦国無双だもの。絵的にはそれ以下かも。真田広之ガンダムハンマーを振り回しながら必殺技を打つシーンとか笑いました。

 でもって、おいらの大好きな真田広之さまはというと…。冒頭の戦争シーンで活躍してからは、ずーっとダメダメな役どころ。黒の暗殺者に速攻完敗するわ、女とラブラブになってからは俗世を捨ててエッチしかしないわ、復帰しようかなとか欲を見せたらだまされるわ、と最悪。で、演技も最悪。真田広之ってこんなに大根だったっけ?という印象を…。一緒に見た韓国人、中国人の友達に、冷たい目で見られたよ…。ま、チャンドンゴンも大したことなかったけどね(笑)。真田、チャンともに中国語は十分に聞き取れるレベル。ただ発音のミスは結構ありました。でも、基本的に長台詞はないし、中国人役者の話すスピードの6割でしゃべるので、違和感はばりばり。

 だてに、ダメ映画としてここまで盛り上がりを見せているわけではないな、というのが感想。見終わった後、「なぜこんなダメ映画になったのか?」で盛り上がれるほどであり、「クソ映画」として確固たる地位を築くのは間違いない模様。ただ中国国内ではかなりの興行成績をあげているのがデビルマンと違うところなのでしょうが。ま、制作費を回収できるかは韓国、日本、アメリカでどれだけ成績をあげられるかにかかっているんでしょうね。

 ★★☆☆☆