中国における「クレヨンしんちゃん」の商標裁判


「しんちゃん」グッズ販売できず=国内企業の商標登録を認定−中国裁判所(時事通信 2006年9月30日 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060930-00000053-jij-int9)


 どういう事情なのかは、「中国メディアウォッチ | クレヨンしんちゃん 日中で争奪戦」(http://china-media.jugem.jp/?eid=43#sequel)が詳しい。あと「中国商標」(http://www.cb-h.com/shshshow.asp?n_id=26995)の記事を参考にしたところ、以下の通り。

 2003年に双葉社が中国での商標登録を行ったが、1997中国国家商标评审委员会年には既に誠益眼鏡公司が9項目の分野で商標登録を行っていた。で、2005年1月に双葉社が中国国家商標評審委員会に誠益眼鏡公司の商標取り消しを申請。2005年12月30日に申請却下。で、双葉社が中国国家商標評審委員会を訴えるという流れ。

 裁判は双葉社が5月30日敗訴し、即座に控訴。で、9月30日に控訴却下にて敗訴が確定しました。

 判決理由は以下の通り。

  1. 1993年の商標法では商標登録後無期限での異議申し立てが可能であったのに対し、2001年に改正された新商標法では登録後5年に限定される。双葉社が旧商標法が適用されると主張するも、裁判所の判断では新商標法が適用されるとし、97年から8年経過してからの異議申し立ては認められないとした。
  2. 誠益眼鏡公司が97年に商標登録をした際、中国では双葉社の商標登録がなされておらず、「クレヨンしんちゃん」の商標がどれだけ認知されていたか疑問であるという指摘。
  3. 双葉社の主張では、誠益眼鏡公司の商標登録が「悪意をもったもの」と証明できない。

 法律に疎いので、1の判断(商標登録後に、商標法が改正された場合、登録時の法が適用されるのか?それとも現行の法が適用されるのか)がトンデモなのかどうかはわかりません。
 ただ、2と3については明らかに双葉社に厳しい判決であるように思われます。97年当時に中国に訪れたことがある人間はわかると思うけど、クレヨンしんちゃん海賊版アイテムがごまんと散乱していたはずです。「認知されていなかった可能性」っつーのは、正直ないよーな。

 ただ上記の「中国メディアウォッチ」さんにもかかれていたように、双葉社の対応が遅すぎたというのが一番大きな問題かも。パクられまくりの状況は理解していただろうから、海賊版は押さえられないにしろ、とりあえず商標だけは押さえておけばよかったのに。

 あ、あと、中国には「蜡笔小新有限公司」(http://www.wl139.com/V08/default.asp)という、会社名がまんま「クレヨンしんちゃん」(=蜡笔小新)なのがあるんですけど、ここはどうなんだろ。結構大きな会社なのですが。